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2022/09/03 14:45

ものづくりの日々を歩んで20年が過ぎ、数えきれないほどの金属加工の経験をさせて頂きました。先輩方が培ってきた技術や知識も教えていただいたりと、今となってはかけがえのない財産です。工業の学校へ入ったこともありモノを作ることが好きで、DIYなどで設計開発することもありました。いつしか磯釣りに出会い、魅了され、フカセ釣りを始めます。メジナやクロダイを追いかけ、あちこちの磯へ行きました。釣行を重ねていると道具のこんなものあったらいいな、これのここが嫌だな、みたいなものが出てきます。理想と問題点を洗い出して自作で作り、使ってみる。こんなことを趣味でやっていました。どんどん磯に夢中になり、フカセ釣りに加え、石鯛釣りも始めます。
私の暮らす房総半島は、石鯛釣りが出来るフィールドの1つです。遠浅な地形のため、仕掛けを遠投し置き竿にしてあたりを待ちます。この石鯛釣りに必要になるのが、竿受けです。そのまま竿が海面に入ることもあれば、手持ちにして合わせを入れることもあります。全国たくさんの石鯛釣り場があり、様々な釣法がありますが、竿受けの道具は必需品になるかと思います。この道具は金属加工製品であり、私にとっては馴染みのあるものでした。無くては釣りにならないため先ずは市販品を購入、石鯛釣りデビューを果たしました。毎週のように時間を見つけては石鯛釣りに出掛けました。自然が相手の釣りですので時に風が強かったり、波が高かったり、潮流が速かったり、様々なコンディションがあります。そんな時、この竿受けの弱点を見つけます。上記に挙げた、風や波、潮流が速い時などには竿受けに固定している竿が回転してしまうのです。釣り仲間からもそんな話を聞きました。私の購入した竿受けはピトン部にギザギザの加工を施し、ネジを押し付けて固定する仕様のものでした。ギザギザにはなっているものの、1か所を点で押し付けているだけなので固定する力は強くありません。しばしばこの竿が回転してしまう現象が起きてしまい竿受け自体のデザインや物足りなさもあったので、自分で竿受けの設計開発をしてみることにしました。

何度も試行錯誤を繰り返して、納得のいく竿受けが完成。フィールドテストでは強風や急潮の時も竿が回転することなく問題は解消されました。また、竿受け自体の強度を上げたことにより、竿根元部分が固定され竿が振れることなく安定するため細かいアタリも捉えられるようになりました。この経験で道具によって釣りの楽しさ、喜びなどの想いが変化することが実感され私がものづくりをする上でのコンセプトというものが明確になりました。
ただ機能を果たせばいいということだけではこの想いに響くことはありません。
製品を通じてこの価値を提供したいという想いが芽生えていき販売をしてみようというきっかけとなりました。